2009年3月10日火曜日

TS3で海外キャッシングが利用できなくなる

トヨタ自動車(愛知県豊田市、東証1部上場)の金融子会社「トヨタファイナンス」(東京都江東区)は、主力のクレジットカード『TS CUBIC(TS3) CARD』のビジネスモデルを見直し、カードによる無担保ローンから撤退すると発表しました。

5月6日以降に新規入会する会員に発行されるカードには、国内・海外キャッシング機能と、国内カードローン機能の限度額を設定しません。つまり、ショッピングだけのカードになる、ということです。カード更新を迎える会員についても、更新の時点でキャッシング・ローンの利用残高がなければそこで限度額はゼロに変更、すなわち利用できなくなります。

TS CUBIC CARDは、トヨタ自動車とグループ会社の社員、家族に福利厚生の一環として事実上無審査で持たせてきたほか、トヨタの絶対的信用力をバックに、トヨタ・レクサス・ダイハツのクルマに乗ってくれる顧客を囲い込む、いわば「販売の武器」として発行されてきました(特にレクサス車を購入した人にはVISAプラチナ互換の「レクサスカード」を無審査でばら撒いていた)。会員数は2月に700万人を超え、取扱高も年間1兆6,000億円とクレジットカード業界8位。わずか8年で急成長を遂げました。

しかし、貸金業法(1983=昭和58年法律32号)の改正でカードローン事業には大手消費者金融並みの厳格な審査を要求されるようになり、しかも年利18.0%(1ヶ月換算で1.5%)を超える利息を取ることができなくなりました。カードローン事業について審査システムの構築を一からやったのでは費用がかかりすぎるだけでなく、全会員の審査をやり直すとなれば、トヨタグループ社員や顧客にガンガンばら撒いてとにかく使ってもらい、取り扱い手数料を得るという、今までのビジネスモデルが破綻するのは避けられません。加えてトヨタ自動車本体もリーマンショック以降の販売急減で2009年3月期は大赤字。このため、本業のオートローン(自動車購入代金の分割払い)と、TS CUBIC CARDのショッピング機能を主軸事業として、経営資源を集中することにしたと、会社側では述べています。

トヨタで期間従業員や派遣社員として働かれていたバックパッカーの中にも、持っている方がいるはずです。そうなると、旅の途中でTS CUBIC CARDのキャッシング機能が使えなくなり、資金確保に苦労するという事態も予想されます。

海外キャッシング機能の使えるクレジットカードをもう1枚持つか、または5月の新規貸し出し停止までに引き出せるだけ引き出しておくのが、最も賢明なやり方です。