日本を訪問していたアピシット・ウェチャチワ首相は6日、内閣総理大臣・麻生太郎との首脳会談を兼ねた晩餐会に臨みました。その席で、懸案となっていた日タイ間の受刑者移送条約について実質的合意に達しました。
条約が批准されますと、バンクワン終身刑務所(ノンタブリ市)にいる長期囚8人を含む18人の日本人受刑者は、本人の希望を待って日本に移送され、日本国内の刑務所で残りの刑期を過ごすことができます。
逆に、日本で服役中のタイ人受刑者(法務省矯正局調べで78人いるとのことです)もタイに帰国して、ガムウォンワン中央刑務所(バンコク首都圏チャトチャック区)などの刑務所で出所を待つことになります。
前記事「在タイ日本人長期囚、恩赦のメド立たず」で取り上げた通り、在バンコク日本大使館邦人保護部の受刑者に対する態度は無責任極まりありません。そのために出所はおろか、恩赦の審査対象にすらならない受刑者もいます。前記事「バンクワン終身刑務所在監中の邦人たち」で取り上げましたが、8人のうち2人は名前の公表すらも拒んでおり、Traveler's Supportasia読者のきちゃもんさん(東京都)がフジテレビ「ザ・ノンフィクション」の取材で来タイした際も、会うことができませんでした。
それでも、受刑者移送条約締結については邦人保護部から伝えられているようで、特に持病のある竹澤恒夫受刑者(DACO連載「南獄手記」参照)は生きて日本に帰る希望をほぼ捨てていただけに、今回の決定はさぞかし嬉しいことでしょう。
外務省は現在行われている第171通常国会に批准を提案し、早ければ年内の帰国実現を目指します。
(画像:首相官邸HPから拝借しました)