2008年5月13日火曜日

遠東航空が全路線運航停止

台湾の国内線4位だった「遠東航空」(EF=FEA、台北市松山区)が、昨日12日から国内線、国際線のすべての運航を取りやめ、事実上倒産しました。創業52年目での倒産になります。

1962年に台北~高雄線に就航。その後、高速鉄道のなかった台湾で、台北・松山空港をハブとした島内各都市へのシャトル運航に参入して規模を拡大しました。しかし、1981年8月に台北~高雄便で当時使用していたB732型機が空中分解する事故を起こし、乗客乗員110人全員(そのうち日本人乗客18人)を死亡させたことで、日本では悪いイメージばかりが先行していました。

遠東航空では、台湾高鉄(新幹線)の開通により台湾国内線が壊滅することを想定、それに代わる収益の柱として国際線を強化する方針を決め、台北・桃園空港と高雄・小港空港から済州島(韓国)へのルートを作り、台湾と中国大陸を結ぶ「小三通」に参入。路線を順次広げ、7月の馬英九政権下で実現する「両岸直航」では、真っ先に参入して社運をかけるつもりでした。

その一方で、カンボジアに設立した子会社「アンコール航空(G6=AKW)」を通じて、台北~シェムリアプの定期便を就航させ、2006年にはカンボジアと日本を結ぶ定期チャーター運航に参入します。しかし2008年2月、アンコール航空から遠東航空宛てに売上金を付け替えるため振り出された手形が不渡りになるトラブルがあり、遠東航空、アンコール航空の両社ともIATA(国際航空運送協会)クリアリングセンターの利用資格を剥奪されてしまいました。同センターが利用できなくなると、国際線を運航している世界中の航空会社は言うまでもなく、台湾の他の国内線キャリア(華信航空/AE、立栄航空/B7、復興航空/GE)ともエンドースができなくなるため、一気に経営危機に陥り、遠東航空は会社更生手続きに突入しました。

しかも、その後の原油高騰が響き、3月にはアンコール航空の看板になるはずだったカンボジア~日本間の定期チャーター便が止まります。そして5月10日、アンコール航空は台北~シェムリアプの定期便も取りやめて運航停止に陥ります。結果的に、これが親会社たる遠東航空の命運をも絶たせてしまった形になりました。

遠東航空は日本には定期便を飛ばしていませんが、同社便の航空券をお持ちの場合、上述の通りIATAクリアリングセンターが使えないため他社へのエンドースができず、運航停止で航空券は紙屑になってしまい、買い直しになります。十分ご注意ください。