マン・パノタイ情報技術大臣は20日の記者会見の席で、120年以上の長きにわたって運営されてきた国内電報業務を、4月30日限りで廃止すると表明しました。
タイの電報はラマ5世チュラロンコン大王の時代、1875年に創業。CAT(総合通信公団)に所属しており、郵便局で取り扱っていました。しかし、1960年代以降は固定電話の普及で電報の速達性は失われていきます。1990年代に入るとe-mailやFAXの普及で、一般人が電報を使うことはなくなりました。
日本で電報を運営しているNTT地域会社2社(NTT東日本:東京都千代田区、NTT西日本:大阪市中央区)は、節目の重要なメッセージを文字に残す「お祝い・おくやみ電報」を旧日本電信電話公社の時代から積極的にアピールし、文化にまで押し上げました。ところが、CATは電報の価値を見直そうとはしませんでした。華僑は結婚や葬式のときなど、中国語の新聞に広告を出します。が、電報を送る習慣はありません。1990年代には、電報の打電目的は借金の取り立てにほぼ特化していました。
2002年のCAT分割民営化で、電報業務は国際電話を担当する「CATテレコム」(ラクシー区)に移管。郵便局部門を分離した「タイランドポスト」に業務委託されました。しかし、電報自体がすでに廃れてしまった後で、専従職員1,000人と年間3億Bt.の営業費用に対し、営業収益はほとんどない状態。赤字は政府の一般会計から補填されていましたが、維持は極めて困難として廃止を決めました。e-mailの即時性の前に、役目を終えた形です。
なお国際電報も同時に終了になるため、日本(KDDI)からの受信、日本への国際電報発信も不可能になります。
2008年4月21日月曜日
タイから電報がなくなる
日本時間 5:20
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