日本でも既に報道されているようですが、バンコクを拠点にフリーライター兼カメラマンとして活躍した鴨志田穣(かもしだゆたか)さんが、3月20日5時、東京都内の病院で亡くなりました。享年42歳、死因は腎臓ガンと発表されています。
札幌市出身、東海大学付属第四高校卒。1980年代後半にバックパッカーとして訪れたバンコクで橋田信介さん(2004年、イラク戦争取材中に殉死)と出会い、戦場カメラマンの道へ。記者としての遍歴は「戦場特派員」(実業之日本社、1,890円)、「イラクの中心でバカとさけぶ」(アスコム、1,575円)で、橋田さんが触れています。
その後、「恨ミシュラン」などで地位を確立していた漫画家、西原理恵子さんとバンコクで出会い結婚。「アジアパー伝」(講談社文庫、580円)「鳥頭紀行くりくり編」(角川文庫、700円)など、夫婦共著の数々の作品でライターとして鳴らしました。「アジアパー伝」に橋田さんが出てくるのは、皆さんご存知でしたか?
また、ゲッツ板谷さんの師匠としても知られ、「タイ怪人紀行」(角川文庫)など一連の「怪人紀行」シリーズで東南、西南アジア各地を回り、一流ライターに育て上げました。
2003年、「もっと煮え煮えアジアパー伝」(講談社文庫、650円)をまとめている最中にアルコール依存症が悪化、2人の子供を西原さんに預けて離婚しました。しかし見事に克服、その過程で復縁も果たし、一連の体験を「酔いがさめたらうちに帰ろう」(スターツ出版、1,365円)にまとめる一方、西原さん側も「さいばらりえこの毎日かあさん」(毎日新聞朝刊連載)で取り上げていました。
2007年1月、シリーズ第4作「最後のアジアパー伝」(講談社文庫、520円)が文庫化、再発売された直後に緊急入院。「日本風来坊主」(講談社小説現代連載)、「旅のつづき」(寿郎社ホームページ連載)の2つの遺作が未完のまま、帰らぬ人となってしまいました。
(画像:「最後のアジアパー伝」。鴨志田さんはこの本の文庫化を見届け、この世を去った)
管理者ふくちゃんは面識はありませんでしたが、数々の作品群は一通り目を通していました。4月28日、東京・丸の内のパレスホテル2階ローズルームでお別れの会が行われ、一般読者の参加もできるとのこと。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。