2007年2月27日火曜日

ナナの日系旅行代理店「DTS」営業停止

 BTSスクンビット線ナナ駅西側構内で2002年から営業していた旅行代理店「バンコク発券航空券予約販売センター」(正式社名DTS DISCOUNT TRAVEL CENTER CO LTD.)が2月25日、突然営業を停止しました。
 同社で航空券を購入していた方で、2月24日までに航空券原券またはeチケット領収書を受け取られている方は問題ありませんが、受け取られていない場合、予約そのものが落とされてしまっていますので、他社で改めて予約を取り直さないといけません。既に入金済みでも返金すら諦めなければならない可能性があり、被害金額は1,000万円を下らないとみられています。


 日本人の副社長がホームページに記述したところによりますと、同社は昨年5月頃から社内外でのトラブルが急増し、信用を落としていたそうです。

1.もともと駅構内で家賃が高く、無理がたたっていた。
2.タイ人スタッフが発券規則を勘違いし、会社が受け取った金額以上の負担がかかる「弁償発券」が増えた。
3.さらにタイ人役員が不明朗な会計で会社に巨額の損失を与えた。
4.そこへ昨年秋以降の急速なバーツ高が襲う。航空券代金(外貨建て)が上昇し、他の発券地と比べたバンコク発券の魅力が薄れてしまう。KMT、プログラムDなど他の日系代理店とただでさえ少ないパイを争った末に顧客数、特に日本への通信販売が激減。
5.昨年末には会社の手持ち現金が紛失する事態にまでなった。この結果発券エージェントへの支払いが遅延し、発券経費の即時現金払いを求められ資金繰りが悪化。
6.その度に銀行支援を要請するが、BOI(政策投資委員会)恩典を持っていなかったため融資を断られる。副社長が取り付けようとした増資のメドも立たず、社長(タイ人)も再建に消極的と判断。最終的に副社長の独断で閉店を決めた。

と、副社長は述べています。

 日本ならばすぐに被害者の会が結成されて刑事事件になりそうなものですが、タイの商慣行は日本のそれとは全然違い、自己破産が認められておらず(債権者が破産を申し立てることは可能)、かつ特別清算もないため、会社が資産超過でないと清算すらできないまま休眠会社化という状況に追い込まれます。ある日突然閉店されたらそれこそ「ハイそれまでよ」、クレージーキャッツも真っ青というのが現実です。タイ商業省の極端な保護主義的政策もあいまって、明日はわが身の会社が多数あります。タイでの店選びは、くれぐれも慎重に行う必要を管理者ふくちゃんも再認識させられました。

(3月11日追加)
 管理者ふくちゃんがナナ周辺へ行く機会があったので同店の様子を見てみました。パソコンなどの資材がすべて取り払われ、事務机と椅子だけが寂しく残されていました。副社長氏はHPで「家族も手持ち資産もすべて失った。日本帰国後に自己破産しないと明日の飯すら危ない」と苦しい胸の内を書いておられましたが、果たして無事に再チャレンジできるのか、心配になってきました。