2018年1月20日土曜日

タイエアアジアX札幌線、3年近く遅れて就航へ

タイエアアジアX(XJ=TAX、ドンムアン区)は、2015年に一度航空券を販売しながら政府がICAO重大懸念(SSC)を受けたことにより白紙撤回となっていたバンコク(ドンムアン)~新千歳(北海道千歳市)線について、4月からの就航を目指して航空券の販売を始めました。

《ドンムアン発4月10日、新千歳発4月11日から有効》
XJ620 DMK2355~CTS0840+1 DAILY
XJ621 CTS0955~DMK1510 DAILY

(機材はエアバス333 プレミアムフラットベッド=ビジネスクラス12席、レギュラーシート=エコノミークラス365席)

タイエアアジアXでは、2014年9月から好評運航中の成田・関空線に続く日本3番目の就航都市として、2015年5月から新千歳線の運航を始める予定でした(前記事「タイエアアジアX3番目の就航都市は札幌」参照)。しかし、直前の15年3月に運輸省航空運輸局(サトーン区)が国際民間航空機関(ICAO、カナダ・モントリオール)から許認可体制に対する重大な懸念(SSC)を受け、ICAO加盟国への新規定期便開設や増便、新規機材への変更などが差し止められました。この時に、新千歳線はノックスクート(XW=NCT)の成田線とともに許認可手続きが完了しておらず、タイエアアジアXでは開設ができなくなりました(前記事「ICAO重大懸念でノックスクート運航開始できず」参照)

日本の国土交通省航空局(JCAB、東京都千代田区)は、タイがICAOのSSCを受けたことに対する対応として、チャーター専門航空会社も含め、過去に実績のある路線ではチャーター便の継続を認めることになりました。しかし、タイエアアジアXでは初めから定期便を就航できるという前提で航空券の販売を始めていて、チャーター便の実績もありませんでした。このため、自社でチャーター便扱いの運航を行うことができず、一律払い戻しとすれば既に新千歳線で定期便を飛ばしているタイ国際航空(TG=THA チャトチャック区、SET上場)や、チャーター便の経験があるアジアアトランティックエアラインズ(HB=AAQ、クロントイ区)に客を奪われる可能性があるとして、グループ本部のエアアジアアセアン(インドネシア・ジャカルタ)に指示を仰ぎます。その結果、第三国キャリアによるチャーター便なら就航できるという確約を取り付け、AirAsiaX(D7=XAX、クアラルンプール)による代替え運航を行うことで乗り切りました。代替え運航は15年5月から7月まで行われ、その後は成田線毎日2便、関空線毎日1便を継続することに集中。一方で、ノックスクートはICAO非加盟国の台湾や理事国でありながら一定の距離を置いている中国に新規就航するなどしたため、タイエアアジアXもSSC解除後を見据えたロビー活動を運輸省に対して行っていました。

SSCとその本処分である『Red Flag』は17年10月にようやく解除され、タイエアアジアXは早速、関空線を毎日2便に増便。今回、タイの最大の旅行シーズンであるソンクラーンを前に、新千歳線を定期便で本就航することとなりました。なお会社側では、過去に代替え運航をした実績があることから、「再開」と発表しています。