2017年11月13日月曜日

ヤフオク「貨幣」カテゴリがカード決済不可に

Yahoo!JAPAN(東京都千代田区、東証1部上場)は、国内最大のリユースサイト『ヤフオク!(旧Yahoo!オークション)』の商品代金決済に利用する『Yahoo!かんたん決済』の規約を一部改正しました。今回の改正では、バックパッカーや在外日本人が外国通貨をやりとりするケースもある『貨幣』サブカテゴリのすべての出品について、クレジットカードでの決済ができなくなりました。

Yahoo!かんたん決済では従来から日本国内で通用する商品券やプリペイドカードなどはクレジットカードの利用枠現金化に利用される恐れがあるとしてカード決済が禁止されてきましたが、2017年に入って同種のスマートフォン向けサイト『メルカリ』で日本円の現行紙幣が大量に出品、額面以上で落札されるケースが相次ぎ社会問題化にまで至りました。その後、メルカリの運営会社(東京都港区)からYahoo!JAPANに相談があり、業界団体『EC事業者協議会』が設立されます。メルカリは既に15年以上の実績があるヤフオクからノウハウの提供を受け、禁止基準をヤフオクのそれに極力合わせる方向性が決められ、この過程でYahoo!側も警察の指示に従い、自社をより一層厳しく律していくことになりました。

5月26日付で、『商慣習上相当な範囲を超えて現金等を取得させることを目的とした、またはそれらの可能性があると当社が判断した商品等』を出品禁止とする、メルカリが先行した規制をヤフオクにも導入。11月8日(水)付プレスリリースで、『転売する目的で入手したと当社が判断するチケット』が出品禁止物と定められ、見つけ次第削除されることになりました。同時に、Yahoo!かんたん決済の支払い方法にクレジットカードが使えないカテゴリとして『アンティーク・コレクション』カテゴリの下の『貨幣』サブカテゴリが追加されました。

貨幣サブカテゴリでは、韓国ウォンやタイバーツなど、日本の外貨両替所に持って行くと円への交換レートが不利になる外貨を中心に一定の需要があり、少しでもまとまった金額が出品されるとすぐにその時の為替レート相当額まで釣り上がって落札される傾向があります。このような商品を競り落とす人も多くはクレジットカードで決済していたと見られ、実際に外国に行く人よりもカードの枠現金化目当てで落とす人の方が多いと会社側が判断して今回の規制が決まったのではないかと分析します。

ただ、残念なのはYahoo!側がこの件について、わざわざお知らせを出す程でもない些細な案件と認識していることです。2013年のTポイント本格導入に合わせたJALマイレージバンク(JMB)へのポイント交換終了をわずか2行のお知らせで片付けた時以上の無責任ぶりで、上場企業の個人顧客に対する態度として、到底許されるものではありません。

なお、過去の売上金をチャージできる電子マネー『Yahoo!マネー』(本人確認完了後で500万円まで)と、売上金のプール分(50万円まで)については今後も貨幣カテゴリでの落札代金決済に使うことができます。

(11月15日追加)
司法当局は、このような事例はフリマでの販売を装った高利貸しにあたる(落札金額のうち額面を上回った分を貸出利息とみなす=出資法5条・8条違反、5年以下の懲役または1000万円以下の罰金と判断し、出品者を刑事立件するなど厳しい態度で臨む方針です。