アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、バーレーン、エジプトの中東4カ国は5日、カタール首長国との外交関係を断絶し大使館を引き揚げさせると発表しました。同時に、首都ドーハのハマド空港とこの4カ国の間の民間航空路を即日閉鎖する強硬措置を断行。世界のビジネスマンの移動や航空業界に大きな影響が及びそうです。
エジプト外務省の説明によると、カタールの首長家がエジプトを本拠とするイスラム主義団体『ムスリム同胞団』を支援している疑いが強まったとしています。一方、ロイター通信はサウジ国営SPA通信の配信を引用して
「カタールを本拠とするニュース専門テレビ局『アルジャジーラ』を通じて過激勢力や武装集団のメッセージが世界中に流され、この中には同胞団・アルカイダなどが含まれている」
と伝えました。
ドーハ・ハマド空港を本拠地としているカタール航空(QR=QTR)の他、これら4カ国の航空会社ではエミレーツ航空(EK=UAE、ドバイ)、エティハドエアウェイズ(EY=ETH、アブダビ)、フライドバイ(FZ=FDB)、エアアラビア(G9=ABY、シャルジャ)、サウディア(SV=SVA、ジェッダ)、ガルフ航空(GF=GFA、バーレーン・マナマ)、エジプト航空(MS=MSR、カイロ)がドーハへの路線に就航しています。
サウジとバーレーンは、カタール航空の機材が自国領空を通過することも禁止という非常に厳しい措置に出ており、ドーハからサウジ9都市、UAE4都市に就航していたカタールはこれらの便を昨日5日は欠航、6日から運休します。カタール航空は東京・羽田空港と成田国際空港へ毎日各1便を運航し、同じくワンワールドアライアンスに加盟する日本航空(JL=JAL)とのコードシェアも行っているので、中東方面へのビジネス客が利用する機会も多い路線ですが、ドーハ乗り継ぎができなくなる今日以降、サウジアラビアへ向かうにはドバイ乗り継ぎのエミレーツかアブダビ乗り換えのエティハド、もしサウディアを利用するならバンコク・香港・シンガポールなど東南アジアの主要都市を経由する必要があります。タイ国際航空(TG=THA)やシンガポール航空(SQ=SIA)など東南アジア系のキャリアを利用する分には、影響はありません。
また、バーレーンはフェリーの運航もストップさせ、サウジは陸路の国境検問所を閉鎖して完全に鎖国する方針。バックパッカーの旅にも影響が出そうです。
(6月6日追加)
サウジアラビア政府は、カタール航空に出していた運航許可(AOC、日本の「外国人国際航空運送事業の経営許可」に相当)を取り消す決定を行ったと発表しました。これによりカタール航空のサウジ路線は廃止が確定することになります。