出版取次中堅で地図、旅行書を専門に卸していた日本地図共販(東京都千代田区)が10日、東京地方裁判所民事部に自己破産を申し立てて完全倒産しました。この際、地図共販の子会社で旅行書などの出版を手掛けていたキョーハンブックス(東京都千代田区)も連鎖して自己破産を申し立てていたことがわかりました。設立40周年の節目だったにもかかわらずの倒産で、関係者は対応に追われています。
日本地図共販は、終戦直後の1946年(昭和21年)に設立された伝統ある地図の卸問屋でした。同業大手の武揚堂(東京都中央区)、内外地図(東京都千代田区)と共に国土地理院(茨城県つくば市)から「元売捌」と呼ばれる地形図などの卸売業者に指定され、全国の地形図取扱い書店へ卸すとともに、東京・神田神保町の本店では全国すべての地形図を取り揃えて店売りも行っていました。
信用情報大手の東京商工リサーチ(東京都千代田区)は、地図共販が昨年9月の決算期まで6期連続赤字決算を記録していたところへ、今年に入って複数の出版社が取引を打ち切ってきたのが致命的となって事業継続困難に陥り、キョーハンブックスも地図共販の事業停止で連鎖的に事業継続ができなくなったと伝えました。さらに、東京で発行されている業界専門紙『文化通信』は、地図共販からそれら版元に対する支払いが滞るなど資金繰りが極度に悪化したのが原因と報じています。
『歩くガイドシリーズ』のうち、バンコク編は例年7月に最新版がキョーハンブックスを版元として発売されていましたが、今年はこの事態でどうなるか微妙。下川はキョーハンブックスに代わる版元を一日でも早く見つけるべく、奔走しています。