2016年7月3日日曜日

スルっとKANSAIが「阪急阪神東宝グループ専用」になる

近畿圏の民鉄・公営交通各社局で構成する『スルっとKANSAI協議会』と、その事業会社『(株)スルっとKANSAI』(大阪市中央区)は、1996年(平成8年)から続けてきた磁気式ストアードフェアカード『スルっとKANSAI』のシステムを終息させる方向性を打ち出しました。

(前記事「スルッとKANSAI終了へ!後継は交通系最強のICOCAだ」の続き、2分割の2本目です)

しかし、阪急電鉄(大阪市北区、日本民営鉄道協会加盟)にはスルKAN・PiTaPaを事実上開発した事業者としての意地、阪急阪神東宝グループとしてのJR西日本に対する対決意識が強く残っています。ICOCA自体は全国相互利用により阪急線内でも既に利用できるようになっていますが、カード販売も含め、全面的にICOCAを導入してJR西日本の軍門に下ることだけは、絶対に避けなければなりませんでした。

それに加え、阪急はICOCA全面対応にするための設備投資を今するよりも、ラガールスルー以来25年に渡る運用ですっかり『枯れた技術』となったスルKAN磁気カードシステムをもう少し長く使い続けたいという経営方針にこだわりました。このため、阪急阪神ホールディングス(大阪市北区、東証1部上場)の直接傘下にある阪神電鉄、能勢電鉄(兵庫県川西市)、北大阪急行電鉄(大阪府豊中市)を含めた4社だけでスルKANベースの磁気式ストアードフェアカードシステムを今後も存続する意向を明らかにしました。

レインボーカード(大阪市営)、スルっとKANSAIカード(近畿日本鉄道)など他のスルKAN磁気カードと同様に、ラガールカード、らくやんカードも現在のシステム、つまりスルKAN磁気カードとしては2017年3月31日(金)でいったん発売を終了します。しかし、翌4月以降は阪急阪神東宝グループ4社だけで使える新しい磁気カードを発売すると阪急電鉄が発表。スルKAN磁気カードとして現在発売されているラガール・らくやんカードも引き続き阪急阪神東宝グループ内で利用できるという、まさかの説明を行いました。PiTaPa・ICOCAを持っていれば18年2月以降も現在のスルKANエリア(阪急阪神東宝グループを含む)で通し利用できますが、持っていない、というよりは「PiTaPaを持てない」利用者には負担が増えることになります。

PiTaPaを持っていない児童・生徒や旅行者の皆さんは、大阪市営・近鉄・南海電車などで使えるICOCAと、阪急阪神東宝グループが発行する新しい磁気カードの2枚を持たなければならなくなる場合があります。阪急・阪神共に梅田駅(大阪市北区)で市営地下鉄へ乗り換えるお客様が多く、2枚持ちは不便になること請け合い。特に阪神からは難波駅(大阪市浪速区)で近鉄に直通する需要もあることから、阪神⇔近鉄間の乗り越し精算が面倒になるのは避けられないことでしょう。

《12月31日追加》
阪急阪神ホールディングスは、新たに発売する4社専用磁気カードの商品名を『Railway CARD(レールウェイカード)』に決めたと発表しました。