2015年3月27日金曜日

SKY撤退で離島のビッグイベントができなくなった!

ミヤコアイランドロックフェスティバル実行委員会(MIRF、沖縄県宮古島市)は、6月20日(土)に予定していた今年の開催について公式HPで「お休みさせていただくことにした」と発表、11年目で初の中止が決定しました。宮古島の地元紙『宮古毎日新聞』(電子版)が25日付で、また那覇で発行されている『沖縄タイムス』は27日の朝刊で伝えています。

実行委員会では、多数の観客動員に耐えられる飛行機の座席供給が追いつかなくなったことを最大の理由に挙げました。2005年に第1回を開催して以来、過去10回の開催では毎回4,000~6,000人の観客を動員。中でも航空機を利用する沖縄本島や本土からの動員が約半数に上り、昨年の第10回では3,000人以上が飛行機で宮古島を訪れ、前夜祭後夜祭を合わせた開催期間中に4億円弱もの経済効果をもたらしたと分析されました(琉球銀行・りゅうぎん総研調べ)。

ところが、今年はスカイマーク(BC=SKY、東京都大田区)が1月末の民事再生手続き開始をきっかけに毎日3往復運航していた那覇~宮古線の廃止を決定。日本トランスオーシャン航空(NU=JTA、那覇市)は毎日7往復、ANA(NH、東京都港区)も毎日5往復を運航するものの、片道1日あたり約560席分の輸送能力が削減されます。SKY撤退後に残るJTAとANAの宮古線では、既に予約が取りにくくなってきているといいます。

これには、今年1月に開通したばかりの日本最長の無料海上橋『伊良部大橋』を目指して本土から訪れるサイクリスト(自転車愛好家)の増加があると、実行委員会も認めています。宮古本島と隣の伊良部島を結ぶ全長3.5kmの伊良部大橋は、アマチュアサイクリストだけでなくプロ競輪選手の練習コースという意味で注目されています。

加えて、那覇~宮古線は生活の足としての面以外に、JALグローバルクラブ(JGC)やANAカードスーパーフライヤーズクラブ(SFC)入会を目指す「修行僧」と呼ばれる航空マニアの利用も多い路線です(前記事「修行僧追放!?JALに乗らないと上級会員への道が」参照)

特にフェスが開催される6月は本土が梅雨時で旅行のオフシーズン、沖縄も本格的な台風シーズンの直前となり絶好の修行チャンスとみられています。フェスの開催期間を知らず、前日や当日に何往復も那覇~宮古間の予約を入れるのは、フェス観衆の島への移動の妨げになります。

そして、宮古空港から那覇や本土へのジェット機路線では基本的にB737プログラムしか使われておらず、大型機による輸送力増強が見込めないというのが、何よりも致命的です。宮古空港はB763やB788が就航できる2,000mの滑走路を持ち、過去にはJTAが日本航空(JL=JAL)のB763を借りてきて羽田線に投入した実績もありますが、日航が破綻した2011年以降は行われなくなりました。ANAは6月1日から関空~宮古間の季節運航を開始するものの、実行委員会では島外からの観衆の9割以上、台湾など海外からのお客様は全員が那覇線を利用するため焼け石に水と結論付けました。

結果、実行委員会は

「観客動員数と会場予算の縮小が開催に向けての絶対条件となる中、過去10回の開催で出演者や観客の間に確立したイメージ、イベントの質や期待を裏切ることはできない」

と判断、

「今年1年お休みを頂いて、実行委員が今まで以上に一丸となって必ずやMIRF2016を開催し皆様と再会したい」

と来年のイベント再開を誓いました。また、

「このタイミングでは(早割や先得の予約などで)既に旅行の準備をされていたファンもいるかと思う。誠に申し訳ない」

と述べ謝罪の意を明らかにしています。

来年、再開の暁には、JGC・SFCの修行僧もMIRFの趣旨を理解し、一人でも多くのファンが島でのイベントを楽しめるようにスケジュールを組むべきだと、董事長ふくちゃんは考えます。