タイの携帯電話最大手、AIS(正式社名:アドバンス・インフォサービス パヤタイ区、SET上場)は8日、日本と同じ2GHz帯の周波数を使った3G携帯電話サービスを本格的に開始しました。「AIS 3G 2100MHz」という半ばそのまんまのブランド名で、3G分野での先行を許したtruemoveHやTOTを追いかけます。
AISは3Gサービスの開始以来、2G以来の周波数だった900MHz帯で3Gの電波を出しています(日本ではソフトバンクモバイルが「プラチナバンド」の名前で売っている周波数帯です)。この結果、AndroidやBlackberryでは3Gの周波数帯が異なるdtacやtruemoveHと仕様の違う電話機を発売しなければならなくなり、ローミングやSIMロック解除などで日本から持ち込まれたスマートフォンを使おうとしても、4以降のiPhoneシリーズでないと事実上AIS網で3Gは使えませんでした(前記事「AISの3Gは周波数の違いに注意」参照)。このため、AISは先に2GHz帯3Gサービスを始めたTOT(国内電話公社)と提携、MVNO(仮想キャリア)としてTOT3GとAISの両方の電波に対応するデータ端末を販売する始末になりました。
通信放送政策委員会(NBTC、ラクシー区)は、クーデターや行政裁判所の横ヤリなどで長年延び延びになっていた2.1GHz帯3G携帯の事業ライセンスにかかる入札を昨年10月に行い、既存大手3社(AIS、dtac、truemoveH)が落札。昨年12月、免許を獲得しました。
これにより、iPhone3G、3GSや日本から持ち込まれたAndroid端末、そしてこれまでdtacやtrueなどの直営店などで販売された「AIS以外のキャリア専用」3G端末でも、AISの3G電波を拾うようになります。バンコク首都圏では、既に広範囲で2GHz帯3Gの電波が受信確認されています。
Androidでは「モバイルネットワーク」→「ネットワークオペレータ」と進むと、その電話機が対応している周波数帯で使える事業者が表示されますが、董事長ふくちゃんの機械で確認したところ「52003」という数字が出てきました。英語版Wikipediaによると、「52003」は国際電気通信連合(ITU)の規格に基づくAISの固有キャリアコードだとあります。ということは、この数字がAISの2GHz帯3Gを意味するようです。
なお、GSMの時代から使用されている古いSIMカードで2GHz帯3Gは使用できません。このためAISでは、直営店やTelewiz(販売代理店。日本のドコモショップに相当)で古いSIMカードの交換に応じています。