2013年4月5日金曜日

NHKの中波ラジオ、アナログ方式で存続決まる

NHK(日本放送協会、東京都渋谷区)の松本正之会長は4日、記者会見の席上で検討課題だったAM(中波)ラジオのデジタル化を見送る方針を固めたと述べました。これにより、ラジオ第1、第2の2系統があるNHKの中波ラジオ放送は、現行のアナログ方式で存続されることが確定。日本近隣のいくつかの国を旅している旅行者にとっても、万が一の時の貴重な情報源が維持される結果となりました。

NHKでは1990年代以降、離島や山間部などでAMの中継局を新たに建設するよりFMを利用した方が安く上がるとして、実験的な中継局をいくつか建設し運用しています。一方で、東京では超高層ビル建設が進んだことで、ビルの谷間などで中波の電波が受信しにくくなるという電波障害が起こるようになりました。

NHKと日本民間放送連盟では、地上アナログテレビ放送の終了で従来テレビの1から3チャンネルに相当する約20MHzという広い周波数が空いたことから、この周波数帯を利用したFMデジタルラジオの可能性を検討していて、2003年から実用化試験放送を行っていました。しかし、試験放送は2011年3月に打ち切られました。

2013年3月、ラジオ専業民放のニッポン放送(東京都千代田区)がデジタル放送への移行を見送ってAMとFMの2波同時放送に参入する意向を示したことで、デジタル化の流れは一気に止まることになりました。TBSラジオ&コミュニケーションズ(TBSR&C)を傘下に持つ東京放送ホールディングス(東京都港区、東証1部上場)と文化放送(東京都港区)も追随しなければならない状況に追い込まれ、NHKでは

「(NHKと民放の両方が一緒という意味の)オールジャパンで取り組む前提が崩れ、現時点では参入することにはならない」(久保田啓一技師長)

と判断せざるを得なくなりました。

董事長ふくちゃんは2001年から2002年にかけて、韓国を訪れたことがあります。この時、夜間になると普段聴き慣れたNHKラジオ第1放送(福岡612kHz)が韓国のほぼ全土で聴けることを知りました。釜山発木浦行きのKORAIL慶全線夜行列車(2004年に廃止)の車内で聴いた『ラジオ深夜便』は、自分が韓国を旅していることをすっかり忘れさせてくれました。