AirAsia(AK=AXM マレーシア・クアラルンプール)は、7月26日に発表していたバタビア航空(7P、インドネシア・ジャカルタ)の買収計画(前記事「AirAsia初の本格航空会社買収!本部も移転!?」参照)を中止すると発表しました。両社は買収計画案の中で出された一部業務提携については誠実に履行するとしているものの、AirAsiaグループのインドネシアでの事業拡大構想が半分躓いた形となりました。
ジャカルタで発行されているインドネシア語経済紙「ビスニスインドネシア」や英字紙「ジャカルタポスト」などの報道を総合すると、計画発表の直後からインドネシア政府運輸省が難色を示していたとされています。
インドネシアにおける航空業界の外資規制は発行済み株式の49%までOK(日本は株主総会における議決権の33.3%まで)ですが、運輸省は買収後のバタビア航空の資本構成において、インドネシアエアアジア(QZ=AWQ)を設立した時に合弁相手となった地元複合企業「フェルシンド・ヌサペルカサ」(ジャカルタ)が51%を保有するとされた部分が曖昧だとする見解を持っていました。
フェルシンド社の資本構成において、インドネシアエアアジアの役職員やAirAsiaグループとつながりの深いインドネシア人が名義貸しをすることで実質AirAsia本体所有となっている部分があると政府は判断。これがバタビア航空にとって間接保有分とみなされる可能性があったのです。
その証拠として、グループ統括会社「エアアジアアセアン」を設立した時のAskAirAsiaにおける会社側の説明にこう書かれています。
「明確にしておきたいのが、エアアジアの拠点がジャカルタになるわけではない、ということです。エアアジアの拠点はあくまでマレーシアです」
この記述にインドネシア運輸省がケチを付けてきたという訳。買収計画ではAirAsia本体直接保有だけで規制いっぱいの49%を取得する予定でしたので、もし間接保有が発生すれば即、規制を超える株式を保有することになってしまいます。この結果運輸省は今回の買収計画を許可しない方向だと伝えられ、バタビア航空幹部も新聞の匿名取材でその事実を認めざるを得なくなりました。
AirAsiaでは、今回の買収のために用意していた8,000万US$の資金をインドネシアエアアジアへの追加投資に振り向け、今後5年間で使用機体数を現在の3倍の70機に増やすという新たな構想を明らかにしています。