タイの国際通信を掌握する国営企業、CATテレコム(ラクシー区)は、携帯電話4位「Hutch」を運営する子会社「ハチソンCATワイヤレスマルチメディア」(ホイクワン区)を、完全子会社化することになりました。2010年中にも、自社で行っている「CAT CDMA」とサービスを一本化。実現すれば、バンコク首都圏と中部25県で3.5G対応の現行au電話機が国際ローミングできるようになります。
バンコクで発行されている英語紙「Nation」が、28日付紙面で報じたものです。
ハチソンCATワイヤレスマルチメディアは、香港のハチソングループと、CATテレコムの合弁で作られた会社。当初、Hutchのシステムはハチソンが構築し、バンコク首都圏と中部にサービスを拡張しましたが、地方にはサービスを広げないつもりでした。
ところがその後、CATテレコムは「CAT CDMA」のブランド名でHutchが営業していない残りの51県に自社でネットワークを構築しました。その上、CAT CDMAの基幹システムはHutchが対応していないCDMA 1xの上位規格「CDMA2000 1x EV-DO」にも対応しています。そのために2008年7月、Hutchの機種互換情報システムに障害が起こります。
日本のau by KDDIで発売された1x EV-DO(au社内呼称:CDMA 1x WIN)ベースの最新機種をタイに持ち込んだ場合、CAT CDMAのエリアでは正常にローミングするものの、Hutchのエリアに来ると圏外になってしまい、au ICカード(SIMカード)を地元対応の別の携帯電話機に差し替えるか、1x WINと従来方式GSMの両方に対応した電話機を使わないといけないという事態になりました(前記事「auグローバルパスポートはバンコクでは使えない」参照)。
今回、CATテレコムはハチソンCATのハチソン側持分をすべて買い取り、完全子会社化します。その後、古くなったHutchの基幹システムを、CAT CDMAのそれに合わせる工事をします。この工事は半年以内で終わるとのこと。少なくとも2010年の夏までには、1x WINの最新規格に対応したauの現行モデルの電話機が、そのままバンコクでも使えるようになりそうです。