2009年8月18日火曜日

在外選挙人、登録わずかに1割

今日8月18日、祖国・日本では第45回衆議院議員総選挙が公示され、12日間の選挙戦に突入しました。その一方で、我々在外同胞にとっては、明日から最大6日間の在外投票がスタートします。しかし、在外選挙人名簿に登載され、実際に投票ができるのは、在外日本人同胞のわずか1割にも満たないという事実が判明しました。

立候補者が当選に向けて周到な準備をするのと同様に、在外投票に参加する同胞は投票したい選挙に確実に投票できるよう、周到な準備をしないといけないのです。バンコクで発行されている日本語紙「バンコク週報」8月10日付の記事を参考に、解決方法に取り組んでみます。


総務省自治行政局選挙部管理課のまとめによりますと、世界209箇所の在外日本公館に在留届を提出している同胞は109万人います。しかし、そのうち、日本に住民票がなく、在外選挙人証の発行を受けている同胞は、11万6,000人。全体の10%強にすぎません。

また、在バンコク日本大使館旅券証明部のまとめでは、タイ国内で在留届を出している同胞は44,000人余りで、そのうち日本に帰国したときに有権者となり得る20歳以上の方は33,000人余りと推測。その33,000人のうち、在外選挙人登録申請書を提出し、選挙人証の発行を受けているのはわずかに3,300人余り。10%ということですから、全世界の平均的水準(推測され得る有権者ベースで14%)にも満たないのです。

しかも、在留届を出さずにタイ国内に長期滞在している同胞がこれと同等、ないしはそれ以上いると推測されていますから、実際にはタイに在留している約10万人の同胞のうち、なんと3%しか投票に参加することができないのです。

在留届を提出する時に、在外選挙人登録申請書を同時に提出した人なら別ですが、そうでないと、後から申請書を別に提出するのが億劫になって、結局申請しないという人が多くを占めるとのこと。

日本を出るときに、最後にお住まいだった自治体に住民票を抜く(海外転出)届出をしただけで、自動的に在外選挙人の資格が得られる訳ではありません裁判員や検察審査員の制度と一緒です(前記事「住民票を抜いたら裁判所にも連絡を」参照)。しかも、在留届を提出しないとなると、直接の罰則こそありませんが(旅券法16条)憲法で保障されているはずの日本国民として最低与えられるべき基本的人権にすら、制約が科されます

まず、海外出国中に旅券を紛失した場合、戸籍の一部記載事項証明書を郵送で請求し、現地での再発給を受けることができません(前記事「戸籍抄本を海外から郵送で取り寄せる方法」参照)。在留証明書ないし在留届出済み証明書は、在留届が出ていないとお話にもなりません。

また、在外選挙人登録をしようとしても在留届が提出されていない場合は、受理されません。同時に提出する必要があります。

憲法で定められた基本的人権を行使するには、憲法にある三大義務(納税だけはどうしようもないとしても)に加え、法律で定められたルールをきちんと守らないといけません。董事長ふくちゃんも住民票の海外転出と在外選挙人登録の申請を既に済ませています。まだ手続きをされていないあなた。この機会に手続きをお済ませください! 今から手続きを始めれば、来年(2010年)7月の第22回参議院議員通常選挙に間に合います

《住民票を抜いていない場合》
一時帰国したときに役所でしかできないんでしょ、とお思いの方が多いと思いますが、在留届の提出と前後して、郵送で抜くことができます。
在留届用紙をお住まいの国の日本大使館、総領事部、領事駐在官事務所で受け取り、記入します。記入が終わったら、コピー屋さんでコピーを1枚取ります。原本は何も修正しないで在外日本公館に提出してください。
コピーの裏面に、「裏面の通り海外転出をしたので届け出ます」と書き、その下に署名、捺印をします。表面の転出先の住所のうち、国名以外の部分をマジックペンで塗りつぶしたら、パスポートのコピーを添えて(戸籍法10条の3)、最後にお住まいだった自治体の戸籍・住民登録担当部課宛に郵送すればOKです。

《在留届の住所を変更していない場合》
大使館に「在留届の記載事項変更届」を提出するのと同時に、申請することができます。この場合、変更届に書いた新住所の確定日から3ヶ月後の応当日に書類が日本に発送されます(前記事「解散後に選挙人登録しても間に合わない」参照)。古い住所のままで申請すると、選挙人証を公館で受け取り、投票も公館でするならまだしも、郵便投票のときに投票用紙を請求しても正しい住所に到達せず、投票できなくなります。