永遠名誉董事長(最高顧問)・下川裕治はチェンマイに住む一人の日本人男性を5年間追いかけ、一冊の本にまとめました(前記事「下川裕治の最新作『愛蔵と山原船物語』」参照)。新里愛蔵さん、68歳。その愛蔵さんがついに年金を獲得、本は最高のハッピーエンドを迎えることになりました。
同じ内容を今発売中の月刊Gダイヤリー6月号(アールコスメディア)、「どこかへ行きたい」で下川自身が取り上げていますが、董事長ふくちゃんは5月15日(奇しくも発売当日)、東京・渋谷で下川に直接会い、掲載許諾をいただきました。
「愛蔵と泡盛酒場『山原船』物語」のあとがきに、下川はこう書きました。
「実は、この本が入稿直前となった2008年11月の時点で、愛蔵さんの年金問題はまだ決着がついていない」
ところが、年が明けてしばらく経った今年2月、下川オフィスに一本の電話が入ります。電話の主は社会保険庁。超法規的措置に近い形で、愛蔵さんの年金受給が決まったというのです。
愛蔵さんは1939(昭和14)年、沖縄県生まれ。1950年以前に沖縄で生まれた人に対する「沖縄特例」と呼ばれる国民年金制度の例外措置をフルに使っても、294ヵ月分の納付にしかならず、このままでは年金受給資格がないと、「山原船」のあった中野を所管する中野社会保険事務所は判断していました。
しかし、中野社会保険事務所から上層の東京社会保険事務局、さらには社会保険庁運営部年金保険課や厚生労働省年金局年金課にも連絡が行き、特例中の特例として残り6ヶ月分のフォローアップが認められました。愛蔵さんの年金はこれで300か月(25年)の納付を満たし、月額6万円の老齢基礎年金を受給できることになったそうです。
3月、愛蔵さんの一時帰国にあわせて裁定請求の手続きが取られ、愛蔵さんは晴れて年金証書を手にしました。
愛蔵さんの基礎年金額をバーツに換算すると、月額20,000Bt.を超え、タイでは文句なしの生活が営める金額になります(前記事「基礎年金で海外暮らしという考え方」参照)。昨年末にはノンイミグラントO-Aの保証金として残すことを義務付けられていた80万Bt.の定期預金に手をつけなければいけない状況にまで追い込まれたとの事(下川談)で、まさにギリギリのところでの朗報でした。脳梗塞の後遺症がある愛蔵さん、リハビリの目処も立ちました。
下川は今週、再度チェンマイへ飛び、今後の治療計画について話し合います。