2009年3月26日木曜日

FromA、次週で廃刊

情報誌大手のリクルート(東京都中央区)は、アルバイト情報誌の草分け的存在として親しまれた「FromA(フロム・エー)」を、来週3月30日(月)発売号をもって廃刊とします。日本に帰国したバックパッカーが仕事探しの時必ず1度は読んだであろう名物雑誌も、時代の変化で存在自体が中途半端になっていました。

FromAは1982年(昭和57年)、リクルートがまだ旧社名の「日本リクルートセンター」と言っていた時代に創刊。当初は毎週火曜日に発行され、当時は毎日発行されていた「日刊アルバイトニュース」(学生援護会=現・インテリジェンス。現在の「an weekly」)を追撃しました。バブル期の1991年には週2回発行に拡大し、金曜日発行版「FromAtoZ(フロムエー・トゥ・ゼット)」を追加。広告掲載スペースが足りなくなるほどの活況を呈しました。ほぼ同時期に3K(きつい、汚い、危険)や古くからの職人的な業種、いわゆるブルーカラーに絞った姉妹誌「ガテン」も生まれ、若者の間で定着。その後、FromAは月曜日、AtoZは木曜日に発行日を変更し、1990年代末のインターネット普及まで活躍しました。

2000年、リクルートはFromAの掲載内容を地域ごとに細分化した形のフリーペーパー「TOWNWORK(タウンワーク)」を創刊、東京都内で配布を開始します。これが大当たりして全国主要都市に拡大。1冊で地方全体をカバーする商業誌というFromAの意義は徐々に縮小されていきます。そのうち、フリーペーパー形式でも東京都内全域をカバーする「DOMO首都圏版」(アルバイトタイムス)が出て、商業誌としての存在意義は失われていきました。FromAに掲載されていた特集記事は2004年創刊の週刊総合フリーペーパー「R25」に事実上移行、そしてインターネットも今では「タウンワークネット」が完全に主流。FromAの名前を冠した「FromAnavi」はすっかり取って代わられました。

2007年3月、AtoZの流れを汲んでいた「FromA Blue」が廃刊になり、週1回の発行に戻されます。その後もリクルートはFromAとタウンワークの両立を模索しましたが、そこへリーマンショック以降の景気低迷が襲い、求人自体の件数が減る中で、商業誌のスタイルを貫いたFromAを買ってまでバイトを探そうという人は減り、FromAをわざわざ選んで出稿する会社もほとんどなくなりました。

4月以降に帰国予定のバックパッカーの皆さん。アルバイト情報誌はもう、コンビニや駅売店で買う時代ではありません。東京・大阪に着いたら、駅の配布ボックスに直行!

(3月27日追加)
「ガテン」はパソコン向けホームページでの情報提供を今後も行わないことを条件に、商業誌として存続されます。