2008年8月21日木曜日

安田氏殺害、邦人が関与?

 「外こもりのススメ」著者の安田誠(本名:棚橋貴秀)さんが行方不明になっている事件(前記事「安田誠氏殺される!?」参照)で、首都圏警察は今日にも、事件に絡んだとみられる日本人の男2人について逮捕状を請求し、国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配した上で、日本の警察庁に協力を要請します。
 国際手配されるのは、大阪府出身の無職・浦上剛志(30歳)および、名古屋市在住・無職、森宏年(30歳)の両容疑者です。


《事件の大まかな流れ》
 安田氏事件では、首都圏警察のみならずタイに進出している日系報道機関も独自の捜査を展開してきました。これまでの取材で、事件の流れはある程度解明されています。

(7月30日)
 森容疑者がスワンナプン空港に到着。そこから5日までの間に、事件に使われるプリペイド式携帯電話を購入。

(8月5日)
 朝10時、安田氏を携帯電話で呼び出す。自宅アパートを出た直後に合流するが、そこで安田氏から鍵を奪い、森容疑者が部屋に入る。パソコン、Be1stカードなどを持ち去る。
 11時前、安田氏からBe1stカードの暗証番号を聞き出し、アパート1階のサイアムコマーシャル銀行ATMで使えるかどうかテストする。2回に分けて4万Bt.を引き出せたため、両容疑者とタイ人の殺し屋の3人で安田氏を殺害。終了後、殺し屋に遺体を捨てるよう依頼し、スワンナプン空港に戻る。
 浦上容疑者が、24時発のタイ国際航空672便で大阪・関西国際空港へ向け帰国の途につく。

(8月6日)
 森容疑者が、午前0時20分発のタイ国際航空(TG)644便で名古屋・中部国際空港セントレアへ帰国。
 一方、タイ人殺し屋は安田氏の遺体を車に乗せ、カオヤイ国立公園に運ぶ。その途中に立ち寄ったガソリンスタンド(アユタヤ県ワンノイ郡)でパスポートや衣類などを捨てる。

(8月7日)
 名古屋に到着した森容疑者が、安田氏のBe1stカードを某銀行のATMにかけ、10日までの間に20万Bt.相当の預金を引き出す。

(8月8日)
 カオヤイ国立公園へトレッキングに来ていた欧米人旅行者が安田氏らしき遺体を発見。遺体は既に腐敗が始まっていた。

(8月11日)
 タイ語紙最大手「タイラット」が写真つきで報じ、事件が明るみに出る。

(8月12日)
 董事長ふくちゃんのところへ日本テレビが取材に来たため、Traveler's Supportasiaで報道(前記事「安田誠氏殺される!?」参照)

(8月13日)
 中国語紙最大手「世界日報」も写真つきで報道。董事長ふくちゃんはフジテレビから取材を受ける。

(8月14日)
 「安田誠氏殺される!?」の記述がlivedoorニュースに引用される。

(8月15日)
 独立系報道機関「J-Cast」もTraveler's Supportasiaの記事を引用こちらを参照)

(8月21日)
 浦上・森両容疑者のデータが集まったため、首都圏警察ディンデン警察署から中央刑事裁判所に逮捕状が請求される。

《董事長ふくちゃんはこう見る》
 現時点で、カオヤイ国立公園(ナコンラチャシマ県パクチョン郡)に捨てられていた遺体は安田さんとほぼ断定されています。
 日テレバンコク支局の調べで、この男が安田さんのBe1stカード(バンコク銀行のデビットカード)を暗証番号を知った上で持ち去り、帰国後に愛知県内の某銀行のATMから20万Bt.相当の預金を引き出したことが明らかになっています。
 日本国内で海外発行のATMカードを使って預金を下ろすことができるのは、JP BANK ゆうちょ銀行とセブン銀行(前記事「セブン銀行、世界中のカードに対応へ」参照)。新生銀行は一部の店舗に限られます。愛知県ではセブン銀行のATMは非常に少ないので、カードが使われたのはゆうちょ銀行の可能性が高いと判断します。

 また、首都圏警察では「日本人最低2名とタイ人のあわせて3人以上による犯行」(スチャート副総監)との見方で、タイ人実行犯の行方を追っています。
 タイでは警察や陸軍を退役した後「プロの殺し屋」になる例があり、数百人が警察のブラックリストに載っています。彼らは数万Bt.から10万Bt.という、ゴルゴ13でもあり得ないような破格値で殺しを引き受けてしまいます。もし実行犯が殺し屋であったとすれば、計画的犯行の可能性が極めて高くなります。

(8月23日追加)
 日本テレビがWebで容疑者の実名を公表したため、修正しました。