管理者ふくちゃんは、5月のビザ更新で正規ビザを取得する番となりました。在コタバル総領事館(マレーシア・クランタン州)を目指すため、列車の予定だったのが、突然の変更で特急バスに。タイの特急バスで最長距離を誇る、[986]バンコク~スンガイコロク線に乗る機会を得ました。乗る機会を与えてくださったCOZYさん(大阪府)へのお礼の意味も込めて、乗車記をまとめてみます。
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5月6日日曜日。日本ではゴールデンウィーク最終日のこの日、4月にビザなしで再入国したときの在留許可期限が、あと1日に迫っていました。ファランポーン駅15時35分発のヤラー行きRAP(前記事「スンガイコロクへもう1本の列車」参照)に乗る準備をしていたところ、古い友人のnin☆ninさん(大阪府)から紹介を受けたというCOZYさんが現れ、バンコク首都圏内を回ることになりました。管理者ふくちゃんはTraveler's Supportasiaにまとめたネタを総動員。南バスターミナル21時発のスンガイコロク行き2等特急(前記事「スンガイコロクからマレーシアへ」参照)か、21時45分発のハジャイ行き2等に乗れれば、最悪明日中に出国でき、オーバーステイは回避可能と判断していました。
バスは、南バスターミナル2等専用棟に20時には横付けされて出発の準備をしていました。管理者ふくちゃんが発車1時間30分前に押さえた切符の座席番号は「A8」。
定刻通り21時丁度にバスは動き出します。
建設中の新・南バスターミナルを横目にバスはウエスタンアウターリング通りへ。15km程で、南方面へのバイパスルート、ラマ2世通り(国道35号線)に出ます。ここまで来てしまえば、ラチャブリとペッブリの県境で国道4号線にぶつかるまで一直線。列車はこの区間、ナコンパトムとラチャブリ市を経由するので遠回りになり、これだけでも時間短縮効果は凄いものです。
管理者ふくちゃんは、明日夕方の到着に向けて早くも眠りにつきます。心はもう1,300km先のタイ最南端ナラティワート、そしてその先へ…
発車から約2時間、バスはレストランの前で止まっています。ここはペッブリ市郊外のバス公社直営休憩所。まだ全行程の1割も来ていませんが、1回目の休憩です。2等は車内トイレがありませんので、多くのタイ人乗客がトイレを済ませます。食事を取る人もいます。1等、スーパーVIPでは1食の支給がありますが、2等は有料で購入します。
約20分ほどでドライバーが戻り、漆黒のタイ南部へ向けて再び発車。ペッブリ県、プラチュアップ県、チュンポン県、スラタニ県と快走していきます。管理者ふくちゃんも、明日に向けて本格的な就寝です。Zzz…
バンコクを出て9時間。バスは国道41号線を外れました。ここはスラタニ市の入口。そこから20分でスラタニの特急バスターミナルに到着です。2回目の休憩として再び20分が確保されました。管理者ふくちゃんはここで缶ビールを買って飲みます。ペッブリからスラタニまでほぼ爆睡モードだったのですが、普段が普段で寝不足気味。ビールを飲んで寝る時間を確保しようという魂胆です。しかし、マレーシア、特にこれから行くクランタン州はイスラムの戒律が厳しく、スーパーでの酒類販売すら禁じられています。ですから、国境を越えたらビザが出来上がってタイに戻るまでビールは飲めないと考えたほうがいい。これが、事実上のラストチャンスだったのです。
スラタニを後にし、サムイ島やパンガン島への定期船が出るドンサク港への道と同じ、国道401号線を飛ばします。次の休憩地はナコンシタマラート市。途中、海が見えていたようですがこの区間も爆睡。気がついたら、ナコンシタマラートの特急バスターミナルに到着していました。3回目の休憩。バンコクを出て12時間が経過しようとする頃です。
ナコンシタマラートを出ると、ソンクラー湖東側へ向けて国道408号線を走ります。1時間ほどでファーサイ郡。そこから20分ほどで…、水平線が見えてきました。ソンクラー県は、もうすぐです。
バンコクを出て15時間半。ソンクラー市とハジャイ市のほぼ中間地点に来ました。このバスは、ソンクラー市もハジャイ市も経由しません。408号線から直接、43号線に入ってしまいます。どうしてもハジャイに行きたいなら、この場所でソンクラー市始発の急行バスに乗り換えなければならないとのこと。ソンクラー市を過ぎて、いよいよ深南部に突入です。旅のリスク管理を徹底しないといけません。最悪一命を落としかねません。
発車から17時間。BigCパッタニ店前を通過しました。深南部最大のショッピングセンターとしてパッタニ、ヤラー、ナラティワートの3県から買い物客が集まるのですが、マレーシア側のコタバルにTESCOが完成すると、特にナラティワート県からのお客様が減りそうで心配です(前記事「コタバルにもテスコ、来春完成へ」参照)。
パッタニ市内のガソリンスタンドで、最後の休憩です。10分ほどの簡単なトイレ休憩のみですぐに発車。42号線経由でタイ最南端のナラティワート県に入ります。
バンコクを出て18時間。ナラティワート市は県庁所在地とはいえ、大型ショッピングセンターや特急バスターミナルもありません。乗客のほぼ半分が降り、残った20人ほどが終点スンガイコロクを目指します。ここから先の国道42号線は、つい最近整備が完了したばかり。以前は4084号線という看板が出ていたそうで、それも取り替えられていました。
トリップメータは19時間を刻もうとしています。まもなくタクバイ。スンガイコロクに用がなければ、ここからマレーシアを目指すことも可能(前記事「タクバイからマレーシアへ」参照)。ボーダーのあるタバへは、降りたバス停でソンテウが接続です。スンガイコロクまであと30km。バスはラストスパートをかけます。そして、スンガイコロクのランドマーク、ゲンティンホテルの塔屋が見えました。リンドバーグの名文句を思い出したのは僕だけでしょうか。
5月7日16時25分、バスは終点、スンガイコロク市の公社事務所前に到着しました。19時間25分、休憩4回を挟んだ長旅は、国境まで後1kmの当地で終わりです。この時間なら、出国審査場には余裕があるはず。さぁ、マレーシアへ向けて時計の針を進めましょう。