(この項、リッキーさん/プラナコン区 からの投稿です)
タイの正規観光ビザにはこれまで、60日間の滞在を1度に3回までまとめて発給する「ダブルエントリー」「トリプルエントリー」という制度がありました。
しかし、バンコク市内在住のある知人が今月在ジョージタウンタイ国総領事館(マレーシア・ペナン州)でトリプルエントリーを申請したところ、出てきたのはなんとシングルエントリービザ。ジョージタウン市内の代行業者に頼んでもこの結果ですから、直接申請では尚更下りないでしょう。
シングルエントリーでは、60日の滞在後に1,900Bt.払って30日の延長を下ろすのが限界です。さらに延長料を払うと2回、22日までの延長は下りますけどお金の無駄遣い。このため長期滞在者はダブルエントリーを下ろして、60日目に延長せず一度出国する人が多くなっていました。
一説には、正規観光ビザで長期滞在する不良外国人を一掃しようという噂も。タイに居つきにくくなる環境が、いよいよ現実のものになってきました。
(董事長ふくちゃんから)
この投稿をもらうとほぼ同時に、移民庁から発表がありました。10月1日以降、ビザの運用基準が改定されます。もっとも、1997年の入管移民法改正で既に存在していた条項だそうで、厳格に運用することになったと移民庁担当者は述べています。
1.ビザなし(ASEANおよび主要先進39カ国のみ)入国者は最初の入国日から6ヶ月間に90日を超えて滞在できない。ただし、90日間に何回出入国したかは問われない。
2.ビザなし入国者は余程のやむを得ない理由がない限り延長を受けられない(従来は10日~15日の延長が認められていた)。
3.ビザオンアライバル(中国・インドなど20カ国に適用。ボーダーで1,000Bt.の支払いが必要)で入国した者は周辺諸国でのビザクリアが1回までに制限される(従来は2回まで認められていた)。超える場合はいったん本国に帰国(周辺諸国への出国は不可)して正規ビザの取得が必要。
4.正規観光ビザ取得者に与えられる在留許可が短縮される。
主要先進43カ国=60日(従来通り)
その他の国=30日(従来の60日から短縮)
5.ノンイミグラントB(就労)ビザを申請するには所属する会社の登記上資本金が200万Bt.以上、かつ全株主の合計手持ち現金が100万Bt.以上なければならない。
さらに、外務省HPによりますと
6.ビザなし入国者と正規観光ビザ取得者は入国時に10,000Bt.または相当以上の外貨現金、家族で入国する場合は20,000Bt.または相当以上の外貨現金を所持していなければならない。
とあります。
ただし、6.はミャンマー・カンボジア以外の国籍者に対しては事実上反古にされています。
1.はこれまでビザなしで長期滞在していた外国人に正規ビザ取得、もしくは帰国を促す意味はあるでしょうけど、実効性は低いとみられます。スワンナプーム新空港開港によるタイ入国者の増加が最大の理由で、そうなれば移民庁側の処理が追いつかなくなるのはほぼ確実。バンコク首都圏からのビザクリア需要が最も多いアランヤプラテートや、南部のリゾートから最も近いラノーンは別として、それ以外のボーダーでは「運用不徹底」が予想されます。
2.の例外となる「余程のやむを得ない理由」は、タイ国内での入院などが考えられます。その場合、外国人の利用が多い私立病院では、移民庁担当官の出張サービスがあり、それを使うことになります。これ以外の私立病院や公立病院では、担当医の診断書を取り移民庁に提出する必要があります。
★移民庁担当官の出張サービスがある病院
バムルンラードインターナショナル(02-667-1000)
バンコク・インターナショナル(02-310-3000)
サミティベートスクンビット(02-392-0011)
(9月17日追加)
ただ、在外のタイ大使館ないしは領事館で正規観光ビザを取得してしまえば1.の対象外になります。カオサンでも既に何人かの日本人長期ビザなし在留者が「正規ビザ取得に動く予定だ」とコメントしており、結局は移民庁側がビザ代の増収を狙っているのだと判断します。
(9月19日追加)
既にビザなしで長期間滞在している者については、10月1日以降最初にビザなし入国を更新した日を「最初の入国日」とみなして計算します。従って、9月中にビザクリアをすれば適用開始を最大で10月終わりまで延期できるほか、正規ビザを取得してしまえば11月終わりまで延期できてしまいます。また、9月30日以前のビザなし入国に遡って、10月のビザクリアの時点で入国拒否となることはありません。
(1月13日追加)
ビザの相互免除が適用されている以下の国籍者については、1回の入国で30日ないし90日間フル滞在してもビザクリアが不可能にはなりません。
・韓国
・香港特別行政区
・澳門(マカオ)特別行政区
・ラオス
・ベトナム
・ペルー
・ブラジル
・アルゼンチン
・チリ