2019年12月13日金曜日

遠東航空11年ぶり2度目の破綻!日本3路線も続行不可能

台湾の本格航空会社(FSC)3位、遠東航空(別名ファーイースタン航空:FE=FEA、台北市松山区)が、今日13日から国内線、国際線のすべての運航を取りやめると発表、事実上経営破綻しました。遠東航空が破綻状態に陥るのは2008年(前記事「遠東航空が全路線運航停止」参照)以来11年ぶり2度目。前回の時にはなかった日本への定期便ないし定期チャーター便もあり、台湾の観光業界にとって損失となりそうです。

台湾国営中央通信と、現地大手紙『聯合報』が12日夕方にFacebookページや自社ホームページなどで第一報を伝えています。

遠東航空は1962年(民国51年=昭和37年)創業。2000年代前半にカンボジアに作った子会社『アンコール航空』(G6=AKW)との間の金銭トラブルをきっかけに2008年5月12日限りで運航を停止し倒産しますが、2011年4月に運航再開を果たし、業界内では奇跡とまで呼ばれていました。

その後、ボーイング(旧マクドネルダグラス)MD-80ファミリーの中古機をリースで集めて保有機材を拡大。中国大陸への路線である『両岸直航』や、日本・フィリピン・ベトナムへの路線に参入していました。2016年の復興航空(GE=TNA)倒産時には、主力だった台北~澎湖・金門線でマンダリン航空(AE=MDA)と共に台湾離島と本土を結ぶ足を確保する役割が期待されました。

ところが、再起当初から財務基盤が弱かったといい17年には会社更生終結直後の日本航空(JL=JAL)が受けたような当局による経営監視の対象になっていたと、日本の時事通信が伝えます。同じ頃、航空機リース大手のエアリースコーポレーション(アメリカ・ロサンゼルス、NYSE上場)との間にトラブルが起こりMD-80の後継として導入する予定だったB738を調達できなくなります。このため遠東航空はボーイング(アメリカ・シカゴ、NYSE上場)に738の後継シリーズである738MAXを発注しますが、2018年から2019年にかけて立て続けに発生した墜落事故によって機体運航停止(型式証明が事実上取り消されたも同然の極めて重い措置)となってしまい、機材更新がまたも不可能になってしまいます。

一方で遠東航空は2017年(平成29年)、新潟空港(新潟市東区)を皮切りに遅れていた日本への国際線に進出しますが、東京や大阪といった大都市ではFSC・LCC入り乱れての過当競争状態になっており、2路線目以降は秋田、福島(福島県須賀川市)といった地方空港ばかりを狙って定期チャーター便を飛ばします。この施策はある程度は奏功しますが、今年5月、会社全体の1ヶ月あたりの総運航時間に上限が設けられていたと日本の秋田魁新報(秋田市)が報じました。遠東航空は台北桃園~秋田線を半年余り運航できなくなり、11月に再開されたばかりだったといいます。

そして12月12日、手持ち運転資金が底をついたとして、今日以降の運航停止を発表したものです。